戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
その言葉に、紅もフッと笑った。

「それはつまり、俺にこの国にとどまれという事か。自由騎士をやめろと」

「当然だ。約束も果たさぬとは、騎士の名に傷がつくぞ?」

…私の顔を見て、紅はもう一度微笑む。

「フン…たまには騎士の誇りとやらに生きてみるか」

彼は踵を返し、私のもとに歩み寄った。

「…そうだ、この国にとどまるのならば、俺の本当の名を伝えておいても良いかも知れぬな。俺の名は…」

言いかける紅。











私はその口を唇で塞いだ。


















「よいではないか。私は戦乙女、貴方は紅。それで十分だ」




























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