ちょっと、離れてくれませんか!?
「なにかな!?今日はなんなのかな、矢崎くん!!!」
「あ、やーっとしゃべった〜
おはよう、ゆいちゃん♪」
ああもうタチが悪い。
彼は本当にタチが悪い。
まずなんでこんなに私にベッタリなのか謎。
言ってみれば、私、葉山ゆいは、特別可愛いわけでも、スタイル抜群でも、なんでもない。
人見知りじゃないから、友達がちょっと多いかな。長所と言えばそんなもん。
「普通」「平凡」
そんな言葉がよく似合う高校生2年生。
もうすぐ3年になるけど。
対して未だるんるんで絶賛私にベッタリ中の彼、矢崎陽斗くん。
学年で知らない人は、多分少ない。
誰だがわからなくても、名前は聞いたことあるはず。
他学年でさえ、知ってる人は多いらしい。
地毛なのにハチミツをちょっと暗くしたような髪色に、同系色の瞳。
男の子とは思えないほど白い肌。
それに加えて、顔もイケメン。
…イケメンっていうか、かわいい系。
きゅるっとした丸い目がチワワみたい。
まあ、イケメンであることには変わりないんだけど。