ちょっと、離れてくれませんか!?
翌日。
11時。
言われた通りに着ちゃってるのが癪に障るけど、着ましたよ、だって家に来られたら困るから。
イケメン好きの妹に会われたりなんかしたら、今日は家族会議である。
実は、帰りにどっか寄ったり(連れて行かれたり)することは多々あるけれど、
こうやってわざわざ休みの日に会うのは初めてだったりする。
何処に行くかさえわからないから、服装は動きやすくて当たり障りのない感じにした。
ざっくり目のニットの中にシャツ、スキニーパンツに、ヒール低めのパンプス。それとショートコート。
自分で言って悲しいけど、
個性が無いというか、可愛いけどフツー、みたいな、そんな格好。
「ゆいちゃんっ!
おはよー!!
わー、ゆいちゃんの私服だ〜はじめて〜
ちょうかわいい〜」
「お世辞をどうも。
で、どこ行くの?」
「んー、まだヒミツ!
はいこれ切符!」
「え!お金払うよ!!」
わたしの言葉は無視して、矢崎くんは改札のなかへ。
いつも無視するのは私なのに。