ちょっと、離れてくれませんか!?


「じゃあ、しゅっぱつ。」

そう言って私の手をとって歩く矢崎くん。
すごいびっくりしたけど、
耳まで真っ赤なの、見えてますよ。


「ふふふっ」

「なにゆいちゃん笑ってんの。」

ちょっとむすっとする矢崎くん。
怖くないです。

「もーこうしてやるううう」
「うわっ」

駅のホームのど真ん中で、
人も結構いる土曜日の11時すぎ。

いつものように、矢崎くんは私にぎゅー。

「……っちょ!!!やめてよ!!人の目気にして!!!」
「ヤダ
ゆいちゃん笑うもん」

...あなた、何歳ですか。

しばらくして気が済んだのか、私を解放すると、
「あ、ゆいちゃん真っ赤〜」
なんて嬉しいそうに言って、私の頭をナデナデ。


…やっぱり、ペット扱いだよね、これ。
まあ、いっか。


「うるさいなー、私は常識人だから人がいるとこであーゆーのは嫌なんですう。」

「あ、じゃあ人がいなきゃいんだ♪」


その言葉に、私がまた赤くなったのは、言うまでもないよね。

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