十五晩瞳の奇跡

HeaRT ATtACK

倫音さんのことも見破れなかった…


途方に暮れていると、私は何時の間にか喫茶店のカウンター席に居た。


―この世界に足を踏み入れてしまった時点で君はターゲットになったんだよ―


覚めても覚めてもまるで夢の中に居る。

「いらっしゃいませ。」


店員さんが注文もしていない珈琲を出して来た。



襟足のある明るめの茶髪、片瞳は灰色をしていて三日月のピアスが揺れていた。

一見優しそうではあるけれどどこか危険な香りが漂っている。


「君がターゲットか。」


“ターゲット”


璃兎さんもそう言ってたな…


グラスを磨きながら彼は微かに微笑んだ。


「その様子だと未だ何も聞かされてないみたいだね。」