十五晩瞳の奇跡
二人は言い合いを止めこちらをじっと見た。


「私、帰りますね?」


軽くお辞儀をし背を向ける。


「それは、出来ないよ。」


白いドレスの男性がやけに落ち着きを放った様子でそう言った。


少し怖くなり早足で店の出口に向かうけど…―


「―――――?!」

辺りには見たことも無い景色が広がっていた。
扉を開けた先は大通りが広がっていて小さくなった高層ビルまでもが見渡せる。

それと同時に足に違和感を感じた。足が地面につかない。


「えっ……?!」


私は身体ごと大きく下に傾いていくのを感じた。


景色が急降下…ではなく


落ちているのは


私――…?!




「危ないっ……!」


メッシュの男性が凄いスピードで飛び降りて来る。


空中に浮いた私の身体は何か柔らかいものに抱き抱えられ、突然の激しい眠気にそっと目を閉じたのだった。
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