紫陽花と君の笑顔
舞桜 -MAO-
紫陽花の光
――舞桜が病床に臥して、何週間かが経った。
病室の窓からは、たくさんの紫陽花が覗いている。
昔、舞桜がまだ元気だった頃話したことがあったことを思い出す。彼女の好きな花は、その咲き乱れる紫陽花だった。
「おはよう、舞桜」
病室をノックして入る。
まだ朝は早かったが、舞桜もベッドの背を起こし、外を眺めていた。
「おはよう、早いね」
「まぁな。調子はどうだ?」
点滴を繋げた腕を胸に当て、舞桜は静かに微笑む。
大丈夫――そう呟いて、彼女はまた視線を外に向けた。
さっきから見ているのは、きっと病室の下に咲いている紫陽花だろう。
目を細めている舞桜は、そのまま光に溶け込んでしまいそうなほど、弱々しかった。
昔の元気で明るい、お喋りが大好きな舞桜は、もう、どこにも居ない。
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