紫陽花と君の笑顔
病気なんかじゃない
舞桜を侵した病気。
まだ、名前さえも発表されていない無知の病魔。
それに、彼女は身体を乗っ取られた。
体は日に日に弱まり、最悪の状態までいくと、植物人間になりかねないらしい。
だから、舞桜の腕に繋がっている点滴は、絶対に外してはならない。
――外すということは、"死"を意味する。
そう、医者から宣告された。
舞桜の家族――両親と5歳年上の姉は、すでにこの世を去っている。
舞桜がまだ幼い頃。交通事故で。
だから、俺の親が歓迎してくれた為、舞桜はうちで生活していた。
そんな最中、悲劇は起こったんだ。