紫陽花と君の笑顔
「お、玲太~」
場所は霊園の裏。
目を凝らしていないと見落とすような細い通路を道なりに進んだ先に、音源があった。
「遅いぞ玲太!先に始めてんぞ~」
数人の学生の姿。
うち数人は女子で、中には俺も知っている者も居る。
坊主頭が一際目立つ友人が手を振って俺に居場所を示した。
俺は3件の不在着信のうち、2件の電話は目の前の友人、加瀬信幸(カセ ノブユキ)だったことを今更ながら思い出した。
「のぶ、これは……?」
「お前、ほんと最近人の話聞いてねぇのな~」
キョトンとしてしまった俺の肩に腕を回しながら、のぶは大仰にため息をついた。