また俺が助けるから。
カナヅチな私
「やっぱ夏といえば…、海だね」



観光客であふれかえるビーチを横目で見渡す。



入道雲は私を見下ろして笑っているよう。



私、石橋桜子は夏休みを利用して家族と海にやってきました。



ここの海が『オススメ!デートスポット』として雑誌に取り上げていたけれど、ありえない。



海は昆布とワカメに占領されているんだから。



「はあ……」



それにしても、何で海なんか来たんだろう…。



海なんか、やっぱり大嫌い。



やっぱり、っていうのはここの海に私は何度も来ているから。



ここの海に限らずどこの海でもそうだけど、海の短所っていうのはある。



あがったあとに髪がチリチリになるし、砂が足の裏につく。



砂で体は擦れるし、海水が鼻に入って悲しくなってくる。



それだけじゃ、いくら短気な私でも海が嫌いなんて思うことはまずない。



海が嫌いな最大の理由……。



私が、カナヅチで泳げないから。
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