また俺が助けるから。
カナヅチな私の分際で海に来るとは。我ながら呆れちゃう。



しかも学校の授業とかじゃない。来るか否かは自由。



な・の・に……なぜ親は無理やり連れてくるの。



あんなに私はいやだって言ったのに。



高校のキラキラ生活が幕を開けたばかりなんだから、私の好きにさせてほしい。



高1となればガキじゃないんだから。



その辺の悪たれ小僧とは、わけが違う……と思う。



砂浜にひいたシートに腰を下ろす。



シート越しでも、砂浜の暑さがじりじりと伝わってくる。



泳げば少しは涼しくなるかな……なんて考えは、私の弱点、『カナヅチ』によって即消去された。



「はあ……」



ああ、何のために海に来たんだろう。



胸だって大きくないし、ウエストだって細くない私。



私のすぐ目の前を歩いていくビキニ姿のお姉さんがうらやましい。



スタイルがよければナンパだってされただろうに。



そういう人は、立っているだけで楽しいはず。



泳ぎもしないし、ナンパもされないんじゃ何も面白くなんかないよ。



……別にされたいわけじゃないけど!



ドラマみたいな素敵な出会いは普通じゃ無いだろうし。



海なんか、もういや。



これなら、家にいて録画したドラマを見ているほうがましだったよ…。
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