君とさよならの時間 ~大好きの涙~





 この頃から、私は独りなんだと自覚させられた。








 ――そして、私はもうすぐ高校生になるはずの3月。



 藤井先生に言ったんだ。




「お願いします。高校へ行かせてください」





 こんな白だらけの部屋じゃなくて、色鮮やかな世界を見たいと。


 無理なお願いだとわかっていても、行きたかった。





 だって、自分でもわかっていたから。



 もうすぐ自分が死ぬってことに。









 でもまさか、私が生きていられたのは“奇跡”だったなんて。


 そこまではわからなかったけれど。









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