君とさよならの時間 ~大好きの涙~
嘘の恋人になった彼とそんなことをするのが、恥ずかしいから……だよね?
ただ、それだけ…だよね。
「ふーん」
「顔赤いけど、妄想してたん?」
まだニヤニヤしてる葉上にそう言われて、私は頬に手をあてた。
熱い…。熱でもあるのかな?
「妄想って?」
「おいおい。わからないことありすぎだろ」
「し、仕方ないじゃない!だって――――――……」
ずっと病院内で過ごしてきたんだから。そう言おうとしたけど、口を塞いだ。
ダメ。言っちゃ、ダメ。私が普通じゃない、ってわかったら―――きっとこいつは、私に同情する。私は、同情なんてしてほしくない。