君とさよならの時間 ~大好きの涙~
黄色い歓声は、噂のアイツに向けられたものだろう。
廊下で騒ぐ女子は、キャッキャッしてて。私から見てみれば、気持ち悪い。
「いつ見てもかっこいー!!」
「彼女にしてほしぃ」
みんな見た目だけ見て、そう言ってるの?
なんだ…。外の世界は、意外にあっさりしてるのね。
白い箱の中で今までずっと生きてきた私には、程遠い考え方だわ。
「でも、女嫌いなんでしょー?」
「うっそぉ!」
噂は嘘でも本当でも流れる。それが事実か否か。確かめる術はただ一つ。本人に直接聞くこと。――ま、それができたら苦労しないって話なんだろうけど。