君とさよならの時間 ~大好きの涙~




 だって、どうせ偽の恋人だもん。





「む、無理です」




「は?なんでよ」






 今度は、後ろにいる栗色の髪でポニーテールを作った女が言ってきた。




「無理なものは無理なんです。

 葉上に直接言ってください」




 心の中で思ったことをそのまま言った私。目線をずらすことなく言ったことに腹が立ったのか、言い方に腹を立てたのか。どちらかわかんないけど、「はぁ!?」と眉間に皺をよせた。





「あんた、葉上くんのこと好きなの?」




 セミロングの彼女が冷たい目を私に向けて聞いてきた。




「いえ。好きじゃありま………あ」




 好きじゃありません。途中まで言ったあと、しまった。って思った。


 恋人って、好き同士がなるんじゃないの?ここは「好きです」って言ったほうが普通なんじゃないの?




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