君とさよならの時間 ~大好きの涙~
第二章 偽彼と事情
彼も、独りぼっち
葉上のお見舞いに行ったあの日から、放課後彼の家に遊びに行くことが日課になった。
―――ある日の放課後。
「おじゃまします」
「毎日それ言ってるけど、真面目にいらねぇから。それ」
「いいじゃん。言うのって、結構楽しいよ?」
「お前、相当変わってんな」
クツクツ含み笑いをしながら葉上は自分の家へと入っていった。そして私も、まるでもう一つの帰る場所のように、入っていった。
「おじゃまします」って言葉、私、結構好き。
だって、まるで普通の子が言ってみるみたいじゃん。
あ…私も今“普通”なんだ。って思える瞬間だから。
彼の部屋は行くたびに思うけど、綺麗。整理整頓されてるし毎日掃除機かけてんの?ってくらいゴミひとつない。マメな人なのかもしれない。