あくまで小悪魔【BL】
そんなこんなで無事職員室から脱出する事ができた俺の後を、一条はさりげなく付いて来た。


「……何?」


「手を洗いに行くの」


「あっそ」



そのまま二人、無言で廊下を進む。


先ほど加藤が言っていたのは、数ヶ月前に起きた事件の事だ。


3―Dの生徒が数人、放課後トイレで煙草を吸い、担任教師に見つかって停学をくらったのだった。


退学にならなかったのは甘い処置のように感じられるかもしれないけれど、当然内申書は辛口となり、しかもその面々は就職組だったんだけど、学校側からの推薦は望めなくなってしまった。


高卒で就職しようとする場合、普通は学校に来た求人の中から自分の希望する物を選び、推薦会議にかけてもらう。


希望者がかぶってしまった場合は当然成績が良い方が優先され、あぶれた者は第二希望、第三希望へとターゲットが変わっていく事になるけど、最終的にはどこかには決まるようになっている。


つまり、よっぽどの事がなければ推薦会議は通るし、学校から推薦された以上よっぽどの事がなければ企業側も断らない。
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