あくまで小悪魔【BL】
「年上に向かって、その口のきき方は何だ。ちゃんと敬語を使いなさい」


「……すみません」


我ながら超不機嫌な声が出てしまう。


でも俺、こいつ苦手なんだよな。


数学担当で、1年の学年主任の加藤。


教師生活25年の、いかにも堅物って感じの野郎でさ。


入学して間もない頃、クラスメートと廊下でちょっとふざけてたら注意されて、その時から何となく目をつけられてしまったような感じだ。


ただ厳しいだけならまだしも、言い方がねちこくて嫌味で、ホントこいつに捕まるとやっかいなんだ。


「一条先生も一条先生だ。その場できちんと注意しないから、生徒が調子に乗るんだぞ」


「はい…」


一条は困ったように微笑みながら加藤の言葉に頷いた。


「教師が毅然としていないと、またああいう事件が起こるからな」


そこで加藤はチラリと俺を見た。


「司藤。お前も、煙草を吸ってる所を見つけたら、容赦なく停学にするからな」


「はぁ?」


俺はさらにムッとする。


「吸ってないし、持った事もないですよ煙草なんて」


何だよ、その威圧的で断定的な言い方は。
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