僕らが大人になる理由
「でももう、どうしようもない…」
…許されないことが増えるのが、大人になることだと、
責任をとることが、大人になることだと、
ただひたすらに拘束してきた。自分を。
そういう風に、生きてきた。
心を殺して、ロボットみたいに。
「紺ちゃん…じゃあ最後にこれだけは聞かせて…真冬のことは、好き…?」
「………」
「その気持ちも、殺すの?」
…頭の中で再生されるのは、
真冬の、いろんな表情。
『作ってるとき、楽しそうですよね。子どもみたいに無邪気で』
『紺君のバカ』
『紺君が言ったことは、まるで、あたしが、全てが、どうでもいいって言ってるみたいで…っ』
『あたし、名前を呼んでもらえることが、こんなに嬉しいことだなんて思わなかったです』
『ここが好きだから、みんなが好きだから、あたしも皆に好きになってもらえるような、そんな人間にここでなりたいっ…』
『紺君…告白の返事、今もらってもいいですか?』
―――『…はい、分かりました、紺君』
「殺せるもんなら…」
この気持ちを、殺せるもんなら、殺したい。
どうにかなってしまいそうなほど、苦しいから。
どうにかなってしまいそうなほど、愛しいから。