僕らが大人になる理由
「知ってた? あたし光流君目当てでバイト(清水食堂)はいったんだよ?」
「エーシラナカッタナー」
「嘘つきっ、いつも試すみたいなことばっかり言ってたくせに。お花見の時だって…っ」
「アハハ。だったらもっと早く言えばよかったじゃん?」
抱いて下さいっ、て。
結局そこでしょ?
ネームバリューってやつでしょ?
俺の全部が好きなんて、一体どこ見て言ってんの?
…吉良光流とイケない関係になっちゃったって、明日、彼女が休憩室で嬉しそうに話す姿が思い浮かぶ。
おめでとう。
はれて君は一生僕の彼女になれないことに決定しました。
「真冬んっ」
「あれ? 今日休みじゃなかったですか?」
「今日は俺お客様だよ。デートドタキャンされちゃってさ」
「へえー」
「お前ほんとだんだん紺ちゃんに対する態度と違ってきたなっ。あ、とりあえずウーロン茶1つ」
「ふんだ」
「かしこまりましたでしょうがっ」
全く。この俺様がこんなにかわいがってるというのに、真冬はあんまり俺になつかない。
俺はお冷を飲みながら、メニューを眺めた。
現在午後3時。急にデートがだるくなってすっぽかした俺。
「はい、ウーロン茶っ」