僕らが大人になる理由
首尾一貫した冷たい態度で言い放ち、あゆ姉は去った。
一日にこんなにも「下種」と言われたのは初めてだった。
俺は、盛大な溜息をついてから頭を抱えた。
「くそ…、やっぱバイト先の子はまずったかー」
まさかよりによってあの二人と休憩が被るとは…。
真冬には本当に悪いことしたな…。あいつそういうの本当にうとそうだし潔癖っぽいしなあ…。
不潔って言われても仕方がない。真冬に嫌われちゃったのかな、俺。
「ま、いっか」
女に好かれことも嫌われることも慣れてるし。
俺はもう完全に冷め切った三食丼を頬張った。
「げほっ!!!」
…3色のうち緑色がすべてわさびだったことに、なぜ俺は食う前に気づけなかったんだろう。
そうでした。あの姉さんはこういうことを普通にやる人でした。
俺は咽ながらダッシュでキッチンに向かい、紺ちゃんにどんぶりを突きつけた。
「ちょっと、これどういうこと?」
「ああ。気づかなかったんですか。バカですね」
「紺ちゃんグルだったの?!」
「大体のことは二人から聞きました」
「こ、紺ちゃ、君だけは光流の味方だよね…?」
「光流」
「はい」
「真冬は光流を好きなんだから、もっとちゃんとよく見てあげて」
「は…?」