【完】人形達の宴~通りゃんせ~
ガチャッ---
諒ちゃんの部屋の扉を開けた瞬間、フワリと大好きな人の香りが私を包む。
心地良いその空間に足を踏み入れた私の視界に入ったのは、サッカー雑誌。
部屋の至る所に散らばっている雑誌を、諒ちゃんは足で払いのけながら道を作っていく。
そんな諒ちゃんに、思わず笑ってしまった。
「諒ちゃん、ちょっとガサツだよ」
「いいんだよ」
私をベットの上に座らせた諒ちゃんは一端、部屋を出て行った。
階段を降りる音が聞こえる。
きっと私を手当てする為に、救急箱を持ってきてくれるのだろう。