【完】人形達の宴~通りゃんせ~
タオルをそっと外して傷跡を見た。
刺さった傷跡はそんなに深くはなかったからか、今はもう出血も止まっている。
気になるのは、傷跡からズキズキとした痛みを感じるくらい。
そんなに酷い傷ではなかったとホッと安堵したところで、ドアを開けた諒ちゃんと視線が合った。
手には救急箱を持っている。
やっぱり諒ちゃんはそれを取りに出て行っていたのか…。
そう思いながら諒ちゃんを見つめていると、私に優しく笑いかけながら部屋の中へと入ってきた。
私の傍まで近づいた諒ちゃんがしゃがみ込み、手にしていた救急箱を床に置く。
「お待たせ。今、治療してやっから待ってろ」
「ありがと」
膝立ちの諒ちゃんは足元に置いていた救急箱を開くと、まずは消毒液とガーゼを用意していた。