【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「あの…」
「入れ」
ダンッ---
促され工場内に入ると、すぐにドアを閉められた。
暗いと思っていた室内は意外と明るい。
窓がたくさんあるからであろう---
しかし室内の誇りっぽさに思わず顔を歪めながら、閉められたドアを見た。
鍵が壊されているのか、取り付けられてはいない。
何かあってもすぐに逃げられるだろう…。
扉を視界に入れながら、そう思った。
「瑞希はどこですか?」
「………」
ここに来ればいると思っていた瑞希は、この廃屋工場にはいないようだ。
私の質問に無言で睨みつける目の前のその男はまさに不良で、本当に怖くて身体が震えてしまった。