【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「な…、なんなのよ?」
あまりの怖さに涙が出そうになった。
人形達の数まで数える余裕はないけど、でも絶対に百体はいるような気がする。
以前も寝ている時に人形がいた事があったけど、その時は一体だけだった。
それが今回の数の多さに脳が処理しきれなくて、唖然とするばかりだ。
『ユイ』
「みず…き…」
今だ聞こえる歌の旋律と、子供の笑い声。
それと一緒に私の名を呼ぶ、なじみのある声も聞こえ身体がビクッと強張った。
前回と同じように同じ人物の声だったが、それでも以前とはまた違う光景に眩暈さえする。
それでも声の主に返事をしようと、視界に入るたくさんの人形をソロリソロリと伺い見ながら見慣れた人形を視線で探した。