【完】人形達の宴~通りゃんせ~
八章 春日井村へ
空を見上げると昨夜と同じように、灰色の厚い雲が空を覆っていた。
頬を掠める風はどこか生暖かくて、なんだか気持ちが悪い。
「はぁーーー」
思わずため息を洩らしてしまった。
そんな私をチラリと見る諒ちゃんが視界に入る。
「どうした?」
「んー、嫌な予感を感じさせる空気だよね」
「そうか?」
なんでもないとでも言うように、視線をまた前へと戻す諒ちゃん。
これから何が起こるか分からないって言うのに、諒ちゃんから緊張感の欠片も感じられない。
怖くないのかな?
平然とした顔で歩いている諒ちゃんの横顔を見ながら、諒ちゃんの心臓には毛が生えているのかもな…なんて思いながら駅への道のりを歩く。
この時間は通学通勤時間だから、道を歩いている人が多い。