【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「りょ、諒ちゃん?」
「俺の結衣に手を出したくせに、よくもまた顔を出せたな?」
低い声で凄む諒ちゃんの声に、私の身体がビクついた。
こんなに怖い諒ちゃんは、見た事がない---
いつだって優しい眼差しを向けてくれる諒ちゃんは、人を殴るイメージは全くないし殴った所なんて始めて見た。
「へー…、結構やるじゃん」
「………」
グイッと唇から流れ出た血を袖口でふき取りながら、ニヤリと笑う木崎さん。
その仕草からはケンカ慣れしているのが見て取れ、やっぱり不良だなと思った。
それよりも…、
もしかしたらこれからケンカが起こるんじゃないか?
と不安に駆られた私は、思わず諒ちゃんの洋服の裾を掴む。