【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「すまんのぉ。ここの扉は中々開かんのじゃ」
「い…ッ、いいえッ」
ふんっと諒ちゃんが踏ん張りながら力を込めると、ようやく扉が開いてきた。
ガッ…、
ガラッ……、
ガガッ---
徐々に開いてきた蔵の中の様子は、薄暗くてよく見えない。
これでは中に入っても何も見えないな…と戸惑っていたその時、私の隣から空気が動くのを感じた。
横を見ると、諒ちゃんが中へ入って行くところだった。
「りょ、諒ちゃん?」
「怖いならここにいろ。俺が中に入るから」
そんな事、出来るわけがない。
私一人で安全なところにいても、諒ちゃんがそこにいないのでは意味がないのだから…。
諒ちゃんの昨日、ケガをしていない右腕を掴んだ私は諒ちゃんに向けてニッと笑って見せた。