【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「村長さん、…それって」
ヒクリと喉が鳴る。
多恵の視線のその先、それは---
村長さんがニヤついた表情で持っていたのは、農具で使用している平たい鉄の刃が鈍い光を放つ『鍬(クワ)』だった。
「これかい?これは鍬だねぇ」
「何でそんなの、持ってるの?」
ここは神社だ。
鍬とは畑で使用するものであって、神社で使用する物ではない。
そんな物をここに持ってくる何ておかしい。
小さいながらに嫌な予感が脳裏を過ぎり、村長さんから一歩一歩と後ずさる。