【完】人形達の宴~通りゃんせ~
十章 立ちふさがる闇
多恵ちゃんの亡くなった経緯を話し終えた瑞希は、そのまま私をジッと見つめた。
『ここにいる人形達は皆、多恵ちゃんのようにこの村の村長さんに殺されてしまったの』
「だからここにいる人形達は、村長さんが怖いんだ…。あれ?でも、今現在の村長さんと人柱と称して人を殺してきた村長さんは違うよね」
『それは…』
瑞希が私の問いに答えようとした時、多恵ちゃんがさっきより更にガクガクと震え始めているのが視界に入ってきた。
『コワイ…、ソンチョウサン コワイ コワイ コワイヨ………』
緑色の市松人形に入っている多恵ちゃんがあまりにも震えていて、思わず手を伸ばし抱きしめた。
怖がらないで…、
大丈夫だよ---
震える人形の背中を撫でながら、多恵ちゃんを何とか安心させようとしても震えが止まらない。