【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「多恵ちゃん、大丈夫だから」
『ダイジョウブ?』
小さな声が胸元で聞こえ、そして私を見上げた市松人形の瞳と目が合った。
人形なのに…、
顔が涙に濡れていて痛々しい。
そんな多恵ちゃんに何も出来ない自分が悔しくて、唇をギュッと引き結ぶ。
村長さんに殺された時、多恵ちゃんはもの凄く怖かったんだろう…。
そんなの当たり前だよね。
私でさえそんな目にあったらきっと、怖くて怖くて堪らなくなる。
それが七歳になったばかりの小さな子供なのだから尚更、怖いと思うに決まっているよね。