【完】人形達の宴~通りゃんせ~


「あの…、瑞希達ってもう死んでしまったんですか?」


「………まだ、死んではいない」



「死んでない?」


「そう、まだ………だがね。これから瑞希さんの市松人形に二人の魂を閉じ込めてようやく死ねるんじゃ」




そう言った村長さんの手が、ゆっくりと上がっていく。


何で手を上げるんだろう?




そんな疑問を胸に抱きながらも、私はまた村長さんに質問をした。





「ではこのまま瑞希達を死なせずに、帰ることも出来るんですね?」



「…帰る?おかしな事を言う子じゃぁ。……瑞希さん達どころかここにいる皆、人形の中に入ってこのままここの住人になるんじゃよ」




そう言った村長さんは次の瞬間、真上に上げていた腕を一気に振り下ろした。


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