【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「ほら、行くぞ」
「うんッ!」
それから私達は今は誰も住んではいないという、瑞希のお祖父ちゃんの家へと向かった。
完全に暗闇になってしまった小道をゆっくり…、
ゆっくり噛締めるように歩きながら、思うことはやっぱりここに来てからの出来事だった。
生きている事は当たり前のようであって、当たり前ではない。
生きている者全ては皆、死と隣り合わせなのだ---
生を諦めてしまった自分が、今となってはとても恥ずかしい。
それでも愛する人達の死へのカウントダウンが始まっているのを見たら、生への希望なんて薄れ絶望するのは当然だとも思う。
今あるこの幸せは…、
”まやかし”…なのだろうか?
それでもいい…。
ただ愛する人達が私の傍にいるのなら、それだけで私は幸せなのだ。
ゆっくりと首を動かし、空を見上げた。