出会いの本〜出会えてよかった〜
連行先は中庭。
さっきチャイム鳴ってたからここに来る輩はいないだろう。
とのこと。
あぁ…真面目だった私が…
遅刻だなんて…
別にいいけど
「…で、なんでしょう?」
眉間にシワを寄せたままの水守に聞く。
すると
「お前、今日おかしなことがあったろ?」
おかしなこと…
あぁ…
すぐさま思い出したのは、今日の朝の美咲の件。
「あー。別になんもないよ?妹がおかしくなっただけ」
美咲も疲れてたんだよ。きっと。
「その妹のことだよ」
…こいつ、美咲なこと気になってるんじゃ…
「別に、そういうんじゃねぇ」
なんだ、バレバレか。
「で、何があったんだ?」
そんなに真剣に言い寄らなくても…
まぁ、真剣に話すことにしよう。
「なんか、妹がさ朝、変だったの。」
「変って?」
どうせお見通しなくせに
「美咲じゃなかった。なんか、返せって言ってた」
やっぱりか。と、そう言った水守。
「なにがやっぱなの!?」
声を荒げてしまった。
だって、美咲があんな風になった理由を知っていそうだったから。
大事な妹が一瞬でああなった理由を。
「そんなデカイ声出すなって。」
あくまでも冷静に返事をする水守。
余計腹が立った。
「お願い、教えて。妹に成り代わってた奴。」
妹の中に誰かがいたことくらいわかってる。
「そこまでわかってんなら上等じゃねぇか」
なにがよ…
「ま、お前もそろそろ危なくなってきたな。」
え?私も危ない?
「え、ちょ、どういうこと!?」
水守は右手の人差し指に顎を乗せながら考えて
「よし、今日から俺たち付き合ってることにしよう。その方が俺もお前も都合がいい」
………
ん?なんて言った?
「はぁぁぁああ!?なんて言った!?」
今言った言葉を受け入れる心の余裕なんて私にはない。
「だから、デカイ声出すなって」
デカイ声を出さずにはいられないだろ。
「いやだからさ、本当には付き合わない。けど、ある事情で俺はお前のそばにいなきゃなんねぇんだ。本望じゃねぇけど。」
すこしは詳細を説明しろ。
ある事情ってなんだ。
「まぁ、それが知りたかったら明日うちに来い。」
なにそれ、恋人みたいなこと言ってんじゃねぇよ!
「いや、ちょ、まだ状況が…」
「明日、10時に水守公園な?」
いや、まてよ、それって早起き確定じゃん!
「だから!」
「もうホームルーム始まってるから俺戻るわ」
私も戻るわよ
背中を向けて去って行こうとする水守はそれと、と付け足す
「転校生には気をつけろ」
「え?」
なんで水守が転校生の存在を知ってるかは置いといて、
まぁ、仮彼氏の言う通りにしてやろう
「わーかったよ」
そういって各々の教室に散った私達。