出会いの本〜出会えてよかった〜
思い出のページ
ひと騒動あったその帰り道。
ついさっきのことだからか、目を瞑れば簡単に思い出すことのできる記憶。
たぶん、問題ないと思う。(たぶん)
でもひとつだけ、問題が生じているではないか。
崎森さんのことだ
あの、ただ怒ってるという表現では表せないような、怖い顔。
あの顔から、気のせいか憎悪も感じられた。
出会って少ししか経ってない友達のために…って感じではなかった。
胸のどこかに引っかかっているのは
あの顔を私はどこかで見たことがある。
という件についてだ。
世界には沢山の人がいる。
この街にだって。
そして、世界には同じ顔の人が3人いると言われている。
たぶん、それなのかなぁ~…
崎森さんのとっぺるげんがーさんにあったのかもしれない。
どこかで
あぁ!きっとそうだよ!それ以外考えられないよ!
うんうん
そして、私の気づいた時には家の前にいた。
考え事してて前見てなかった気がするけど無事につけてるよ…ははっ…
「かえりましたー」
………
今日も出迎えの声は聞こえない
きっと私の声は聞こえてるんだけどめんどくさいんだよね
うちの家系はそんなだからね。うん
私もおかえりなさい、なんて言ったことないかも
あんまり。
まぁ、いつもと変わらないことなのでさして気にせず、自室への階段を上がる
「ベットにぃ………今帰りこん!!」
ドサッ
と音を立ててベットに倒れこむ
学校帰り恒例なんですよ
ベットに帰ってきた喜びで数分むふふむふふして
正気に戻る。
ベットに大の字で仰向けに寝転がり天井を見つめる。
まだご飯の時間まで時間はあるから妹に呼ばれることもない。
「思い……出さなきゃ…いけない?」
一体何を忘れているかと考えれば沢山のことを忘れている私。
その中で思い出さなきゃいけないことを選別するのは難しい。
でもこれだけは分かっている。
お父さんとすごした3年間のこと。
でも、1歳~3歳の間の記憶なんてない。
物心付いていたならまだしも、物心皆無と言っていい年齢。
ひとつだけ覚えているのはお父さんに頭をポンポンとされたこと。
優しい力で、優しい表情で。
でも、それ以外の記憶なんて皆無だ
私が思い出さなきゃ、きっと水守はこれからも大変な目に遭うんだ。
「思い出さなきゃいけねぇことがあるんだ!」
酷く辛そうで、でもそれを隠し、耐えている、必死な顔が目に浮かぶ。
「誰か教えてよ…」
そんなことを言ったって誰も教えてくれない。
私の虚しい声が部屋に木霊した