出会いの本〜出会えてよかった〜

俺は夢を見た


それは酷く懐かしい夢だった


久しぶりに見た気がする



「隼汰、お前は後悔はしてないか?」


なにを後悔することがある


「後悔なんてしてないよ」


「そうか…。なら、お前はある一人の女の子を守ってあげなくちゃならない。ホントは、お父さんの役目の筈なんだけど、それができないんだ」


女の子?守る?できない?


「父さん、それってどう言う意味?」


父さんは笑って


「その子を幸せにするためにやらなくちゃいけない事が増えたんだ」


そう言った


「なんで、その子を幸せにしなきゃいけないの?」


「それが、水守家の仕事だからだよ」


「待ってよ父さん!」


「隼汰、お前は一人じゃない」


「父さん!女の子って誰なの!?教えてよ!」



光の中に消えていく大好きな人の背中


「父さん!!」





「父さん!!」



目を覚ますと自分の部屋の天井が目に入る


「またこの夢か……」


父さんと母さんが居なくなった小学校1年生から見続けているこの夢


父さん達が殺されたと言っても、俺はそれを信じてない。


信じれないのではなく、信じたくないだけなのかもしれない。


まぁ、世間的には俺の両親は死んでいる。



ガチャ


自室の扉が開かれる


廊下から現れたのはじーちゃん


まぁ、じーちゃんしか現れないと思うけどな。


この家を知ってるのはじーちゃんを抜いて風早美冬ぐらいだと思う



「どうした?またあの夢を見たのか?」


「あぁ……」


心配そうな顔で俺を伺うじーちゃん


「大丈夫だって、心配しなくとも」


両親が消えてさみしいと思ったことはあったけど、それはガキの頃の話


今はちゃんとじーちゃんがいてくれる




なぁ、わかってんのか?美冬


お前は俺の親の仇だったりするんだぜ?


まぁ、仇をうったところで何にもなんねぇことはわかってる

うつきなんて無いしな。


そんな事したら父さんとの約束、果たせないからさ
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