出会いの本〜出会えてよかった〜
ほら……
やっぱり来てくれた
心のどこかで疑ってた部分はあったけど、来てくれると、助けてくれると
信じてた。
「み……みも……り…ッ」
いままで堪えていた感情が一気に溢れ出す
悲しみと恐怖と不安と安心
でも、それをできる限り隠して、強がって
「遅いってのっ!」
「お前の方が遅いっての!」
思っていた反応とは違っていた。
笑い飛ばしてくれるとでも思っていた。
でも、逆ギレのような……
「今まで苦しかったんだろ!?辛かったんだろ!?だったら、もっと早く助けを求めろよ!」
私はきっと口を開けて驚いていたに違いない。
それは、水守自身のことを言ってるから。
自分の事なんにも分かってないんだね
「あんたに言われくない!」
そりゃ、腑に落ちないから私だって言い返す。
「俺はお前と言い合うためにここに来たんじゃない」
おまえが言うなそれを。
そう。水守は私と言い合うために来たんじゃない。
もう寸前まで迫っているあの黒い影をどうにかしてくれるために来たんだよ。たぶん。
「だ、だったらまず私を立たせろ!」
そう言うと水守はめんどくさそうに笑って
「俺を舐めんなよ?」
と、訳のわからない言葉をいう。
いや、舐め用もないし。
そして、レディーを立たせようともせず
水守はそう言うと、
地面に手をついて目を瞑りしばらくすると
「現世(うつしよ)での存在を許されざれし者よ。今、帰りこん。」
そう呟いた
これまた中二病かと疑ったがどうやらそうでもないらしくて
水守が手をついてる地面が水守を掲げるように明るく光る
すると
同様に黒い影の周りも光り始める
「あ……あぁ……」
その光に包まれると黒い影は掠れたうめき声を上げる
よく見ると、黒い影の体の下半分はじわじわと、消えて見えない塵になっていた
悶え苦しむかのように体をよじる黒い影
絶えず掠れたうめき声を上げている
そして、とうとう顔と思しき部分まで来ると只機械的に呻いていた声が感情を伝える言葉へと変わる
「あ……あぁ……せ……ぇせ……せ……だせ!うぁぁぁぁぁ……」
最後にそう叫んで塵すら残さず消えていった