出会いの本〜出会えてよかった〜
ピピピピピ
いつもと同じように、憎い目覚まし時計に起こされる。
いつもと変わりないのになんで繰り返さなきゃならないんだろう。
そんなことを考え出したらきりがないのでやめとく。
2月なのに寒すぎる。
いや、2月が1番寒いんだ。
そんなこと考えたって学校には行かなきゃいけない。
将来の夢なんてないのに学校に行く。
ないから見つけに行ってるんだろうけどさ。
今日も夢とやらを見つけに行くために嫌々ながらも制服に着替える。
「おはよー」
「んーおはー」
「今日もヤマンバ」
「将太!」
毎朝のことなので当たり前に無視する。
いちいち相手にするほど落ちぶれちゃいないさ。
自分の席についてイチゴジャムトーストを食べる。
うちの朝ごはんは洋食だったり、和食だったり、一つのものにとどまらない。
朝からヘビーなものが出て来るなんてしょっちゅう。
胃がもたれまくりだよ…
うちにはお父さんがいない。
離婚ではない。死んだわけでもない。
わからないんだ。
行方不明なんだそうだ。
将太が生まれてすぐ。
高2、高1、中3、と
年子の兄弟な私達。
そのため、お父さんのことなんて、これっぽっちも覚えてない。
お父さんの名前は「風早暦」
捜索届けを出して11年になるらしいけど、なんの手がかりも無し。
今更戻ってきたって、家族として接せないし、戻ってきても、今のままでもどっちでもいい。