出会いの本〜出会えてよかった〜

昼休み

私は中庭でいつものようにお弁当を食べる


そして、お弁当を早急に終わらせ至福の読書タイム。

学校で唯一の楽しみはこれかもしれない。


その日の授業は午前中で終了した

各々、四方八方に散らばって行く。


私は本屋に行くことに決めた。


そこで本を2冊購入すると、次は本を読みふける場所を探す。

いつもは河原なんかで読んでるけど今日は山にしよう!


私は山に近い公園があったことを思い出す。


水守山公園。

「やっぱ静かだなぁ」

公園だというのに遊具はひとつもなく、ベンチがポツンと置いてある不思議な公園。


私はそのベンチに座り、カバンから本を取り出す。

そこから、2、3分どちらから読もうか迷いようやく読む本を決める。


読み始めると周りの音なんて聞こえない。

いや、聞かないようにしてるんだ。

本を読んでる時は受け入れたくないことだって無視できる気がするから。

そのため、本を読んでる時に妹に呼ばれてて、私は聞こえなかったため無視してたら後から飛び蹴りを食らったことがある。



そんな私が、その「声」で読書の世界から現実世界に呼び戻されるのはこれが初めてだった。


「なぁ、家帰らなくていいのか?」



え?

周りは結構な暗さだった。

字が読めてたのが不思議に思うくらい。

でも、まだこの時間はご飯ができてないため私はだいたいこの時間に帰ることはない。


「まだ、大丈夫です。」

そういって声の主を見上げた。

そこには私と同じ学校の制服を着た少年が立っていた。

私の発した言葉に訝し気にして

「え、あ、あの…。」

声を絞り出す

「帰った方がいいと思います?」

すると少年は

「しらねぇよ。俺には関係ねぇし」

こういう人好きじゃないなぁ

少年は続ける

「しかも、じぃちゃんが言ってこいって言ったんだからさ」

じぃちゃん?

私は公園の入り口に目を向ける

そこには60半ばくらいのおじいさんが立っていた

あぁ…

「ご忠告ありがとうございます。でも私まだ帰る気ないので」

「家がないのか?」

「あるわよ!」

初対面の人になんなの

「あんた、以外と喋るんだな。学校とは大違い」

学校で私を見かけたことあるんだ…

「そーですか」

「同い年なのになんで敬語使ってんの?」

ええええ!同い年なわけ!?

「お、同い年!?」

「学校で見たことねぇの?俺のこと」

「興味ないからさ」

ふーん、と鼻を鳴らす少年。



「とにかく、私まだ本読みたいから」

話を変える


すると、思いもよらない言葉が飛び出してきた

「じゃー。うちで読めよ。」

………

「はっ!?」

「なぁーじぃちゃんいーだろー?」

「おーう!かわいこちゃんは大歓迎じゃ!」

かわいこちゃんて…

「いやいやいやいや、そういうわけには…」

「すぐそこだし」

と、指を指した。

その指を辿って行くと山を指していた。









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