出会いの本〜出会えてよかった〜
「じゃ、ありがとうございました」
「あぁ、じゃあな」
歩いて3分の道のりを送ってもらい、無事に家に辿りついた。
水守の後ろ姿を見守り家の中に入る
「かえりましたー」
……
反応なし。
よくあることなので自室に上がり制服を脱ぎ捨て、カバンから借りた本を取り出し一回のリビングに降りる
リビングの扉を開け中に入ると家族が勢ぞろいでなにか話し込んでた
「おーい、かえりましたー」
そういうとようやく私の存在に気づく。
「あ、美冬おかえり」
少し元気が無さげにお母さんが言う
後の二人の兄弟たちはニヤニヤしてる。
なんなんだ。
「あの、なんかあった?」
おっほん。と偉そうに咳をする翔太
そして、口を開いてあまりにも馬鹿馬鹿しいことを言い出した
「俺は見てしまったんだ…。ねぇーちゃんが男の人と歩いているところを!」
…………は!?
「お母さんも見たわよ…。あんた、あんなチャラチャラした男の子が好きだなんて!ほんとに!誰に似たの!」
いやいや。そなたら、どうした。
たぶんこいつらが言ってる男は水守のことなんだと思う。
いや、それしか考えられない。
いやいやいやいや、章一さんもいたよね?あれ?見えなかった?
私、公園から出て章一さんとしか喋って無いんだけど…
ま、さ、か…
はは…ははは…
なわけないだろぉぉおお!
「で、美冬と歩いてた男の名前は?」
妹よ…
まぁ、一応名前を言っておく
「んー、私とタメで水守隼汰ってやつ」
その言葉を聞いて目と口を前回に開く翔太。
引いたような顔をする妹、美咲。
「え?なに?悪いやつなの?」
「いやいやいや、ねぇーちゃんなんかが隼汰さんと喋ってたの?ねぇ!なんで!」
「あんた!あんな男がいい訳!?我が姉ながらありえない。」
そんなに有名なの?あの人。
「有名も何も!学校で1番のイケメンと言われてる奴だよ」
へ、へぇ〜…
なにそれ…。なんか私、知らなかったんだけど…
「えっ…知らなかった」
はぁっと大きな溜息をつく美咲
「さすがだね。男に興味なさそうだもんね。美冬モテるのに…」
最後のカタカナの部分は聞こえなかった。うん。