出会いの本〜出会えてよかった〜
今日もまた寒い。
寝起きの機嫌の悪さは家族で1番の私。
それがこの寒さへのイライラもあって機嫌の悪さが増幅されての起床。
それでもやっぱり学校には行かなければならない。
まぁ今日は金曜日で明日からは休み
安寧だ。
私は制服に着替えてリビングに向かう。
そして、毎朝の挨拶かのように
「今日は座敷童」
「翔太!美冬おはよー」
そこに美咲がいないことに気づく。
「あれ?美咲は?」
「それがさぁ、起きてないのよ…。美冬、パンまだ焼けないから、座敷童直すついでに起こしてきて」
あんたまでもが娘を座敷童呼ばわりかよ
うちの家系はいつもこんなんだから今更気にしない。
「じゃ、起こしてくるねー」
登校までまだまだ時間はたっぷりあるからゆっくりと私の頭の座敷童を直して美咲の部屋へ向かう。
ガチャ
私の部屋の隣にある美咲の部屋へ足を踏み入れる。
綺麗な形で仰向けで寝ておられる。
寝顔がまた綺麗な…
なんで私はこれに似なかったのかねぇ…
ま、別にいいんだけど
「美咲ー起きろー」
そういって美咲を揺さぶった
すると
クワッと不気味な目を見開いた。
え…これ。美咲じゃない…
顔は美咲。体も美咲。目が…
美咲じゃない
「あ…あぁ…」
これは出るものの言葉が紡ぎ出せない
すると
「…えせ……返せ…」
そうどす黒い、お腹をえぐるような低い声でそう言った。
美咲の声ではなかった。
「な、何を返すの!?何かとった!?ていうか、あんた誰!?美咲を返して!」
そういって私は美咲の頬をビンタした。
すると、
「いったぁ!美冬!なにすんのよ!朝から!」
いつもの美咲だった。
私は無言で美咲を抱きしめて
「美咲っ…よかった…」
はぁ…
嫌な1日になりそう…