出会いの本〜出会えてよかった〜

ほんと、なんだったの?

私の胸は騒ぎっぱなし。

私は教室の窓側の1番後ろの席で考える。

こんな日に限って転校生?

それは、私の後ろに用意されたもう一つの机が物語っていた。

ツイてないのかな…


すると、廊下から黄色い歓声が聞こえてきた

「きゃーーー♡」

「なんでこんなところにいるのー♡」

新種の可愛い小動物でも見つけたか


「隼汰くぅ〜んっ♡」

は?隼汰?

って、水守のこと?

黄色い歓声が近づいてくるのがわかる。

ってことは…

噂の隼汰くんか?

すると、3組の教室の扉がすごい勢いであく。

ガラガラッ

随分と雑な開け方。

音の方を見る。


そこには疲れきった水守の姿があった。

ほぉ…。隼汰くんが何の用かな?


水守は教室を見回して、私と目が合う。

すると私の方にズンズンと近づいてきて、

ぜぇはぁぜぇはぁさせながら

「おいっ…はぁ…ちょっと来いっ」

はぁ!?

周りからえぇ〜!という女子達の声が聞こえる。

それはこっちのセリフだ!


「えっ、いや…、私は用ないんだけど」

有無は言わせない形相。

ほれほれ、折角の美形が台無しだよ。

イケメンさん

「あぁ?」

昨日とは大違いの低い声。

これは従わないとヤバイ。

「はいっ…すいません…」

私は首根っこ掴まれて連行されたのであった。
< 9 / 43 >

この作品をシェア

pagetop