ひらり、舞う、恋
なんだか申し訳なくて、もう一度深々と頭を下げて立ち去ろうとした。
そのときーーー





「ねえ!」




佐瀬くんの声に立ち止まり、振り返る。





「えっと……?」





戸惑う私をじっと見つめながら、背の高い佐瀬くんは少しかがんで目線を合わせた。





「お礼してよ。」






顔が近い……
私の顔はきっと真っ赤になっている。
反射的にギュッと目を瞑った。








すると、頭の上にポンッと手が置かれ、びっくりしてそっと目を開ける。





「キスでもされるかと思った?」





無表情から一変、意地悪な笑みを見せる佐瀬くんに、私は更に顔を真っ赤にして否定した。




「ち、違いますっ!!」












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