ひらり、舞う、恋
クスクスとおかしそうに笑う佐瀬くんに、悔しいような恥ずかしいような気持ちが爆発しそうになる。
っていうか……クールとか言われてるけど…こんな人なの?






「……お礼って…何をすればいいですか?」





恐る恐る聞いてみる。




「じゃあ弁当作って来てよ。」




「そんなことで…いいんですか?」






幸い料理だけは得意だ。
時間があるときは自分のお弁当も作ってるし、そのついでと思えば全然苦ではない。





でも……この佐瀬くんにどうやってお弁当を渡せば……?
取り巻きの女の子たちの顔が頭に浮かんで恐怖に固まる。






そんな私の心を読み取ったのか、佐瀬くんの方から提案してきた。





「明日でいい?今日と同じ時間の電車、同じ車両で。どう?」





「あ、はい……わかりました。」




というか、何だか威圧感で断れる感じじゃないし……。
これが最初にした二人の約束。






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