ひらり、舞う、恋
佐瀬くんと私は向かい合う形でドアの脇に立っていた。





「桜井かれん」



「は、はいっ!」





急に名前を呼ばれて反射的に返事をしてしまった。
あれ、私、自己紹介したっけ…?




「あの、私の名前…」




「知ってるよ、有名だから。」





有名……?それは佐瀬くんでしょう。
そっか、高校デビューで外見がちょっとマシになったとはいえ、楽しい会話ができるわけでもないし、根暗なのがバレているのだろう。
中学が一緒だった人に、私の昔のことを広められているのかもしれない……






とにかくネガティブ思考になる。







「昨日から思ってたんだけど、なんで敬語?俺らタメなのに。」




「それは…なんとなく……」




威圧感があるからなんて言えません!




< 13 / 32 >

この作品をシェア

pagetop