ひらり、舞う、恋
「大丈夫か?気分悪い?」




佐瀬くんが顔を覗き込んでくる。
ただでさえ密着してるのに、顔が近すぎるっ…





うっかり目を合わせると、伏し目がちなキレイな顔が目に入り、心臓が持ちそうにない。







お願いだから早く駅に着いてーーーーー!!







それだけが私の願い。
呼吸をするのでやっとだった。








ようやく駅に着くと、少しよろけながら降車した。




「本当に大丈夫か?」



「う、うん…」





あなたのせいで大丈夫じゃない、なんて言えるわけないよ。




「弁当今もらっていい?」





そうだった!
肝心の目的をすっかり忘れていて、慌ててカバンの中から佐瀬くん用のお弁当を取り出した。




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