ひらり、舞う、恋
「どうしたの佐瀬くん…?」



「まだ早いし時間あるでしょ?ちょっと話そうよ。」




そう言いながらホームの隅にある椅子を指差した。







朝の慌ただしい駅なのに、私の周りだけやけに静かに感じる。
こうして隣に座るなんて、緊張しないわけがないから。





「はいこれ、ありがとう。うまかったよ。」



そう言って綺麗に洗われたお弁当箱を差し出した。



「本当においしかった?」




「本当!正直予想以上にうまくて感激した!」





無邪気に笑う顔には嘘がなくて、安心するはずが逆にドキドキさせられてしまう。





「俺いつも学食とか購買だからさ、昨日は『佐瀬が弁当食ってる!』って冷やかされたわー。」




「えっ!だ、大丈夫だったの…?」




今度は違うドキドキが私を襲う。




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