ひらり、舞う、恋
数分後、足音が近付いてきた。




トントントンーーー







そっと振り返ると、そこには確かに今朝私を助けてくれた佐瀬くんがいた。





「………何?」




クールだと言われている佐瀬くんは、やっぱり無表情のまま一言だけ私に問いかけた。





「あの……今日の朝、電車……ありがとうございました……」




男の子と話すことに慣れていない私は、緊張して、それを言うので精一杯。





「や、別に…。わざわざそれ言いに?」




「はい…本当に助かりました…ありがとうございます…」





言い終わってから気付いた。
お礼を言うためだけにわざわざこんな所まで呼び出して、佐瀬くんに迷惑をかけてしまったかも…。



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