【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
私は抱かれたまま黒埼さんに頭を下げ
「お大事に」と見送られてそのまま隼の車に乗った。
運転手の人に
「大丈夫ですか」と声をかけられ
「はい」と口を動かして返事をした。
隼の膝に抱かれたまま車に乗ると
「息苦しいか?慌てないでゆっくり息しろ」
咳が出るとそっと背中をさすってくれて
「もう大丈夫だ。何も心配するな」
耳元で声をかけてくれた後、とても大事そうに私を包みこんでくれた。
由香里さんの車の後に続くように藤堂家についた。
門があくと軟禁状態だったというのが事実だとわかるほど
たくさんの男の人がいて、これじゃやっぱり怖かったかなと思った。
そんな中、抱かれたまま歩かれるのも恥ずかしく
「恥ずかしいよ」
隼の顔を見て口を動かしたけど
それを見た隼は、
「大丈夫だ」
静かに言うとスタスタと歩き続けた。
「若、結衣さんは大丈夫なんですか」
声をかけた人の前で一度立ち止まり
「あぁ。まだ声は出ないけど他に大きな怪我はない。大丈夫だ」
「良かった。結衣さんお大事になさってください」
そんな優しい言葉をかけられ涙ぐんでしまった。
「あ…自分、怖かったですかね」
慌てている様子に
ううんと首をふって
ありがとうと口を動かすとホッとしてた。