【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀


「隼さん起こしてきましょうか」


「あぁそうね。奏もお願いしていい?」


「はい」


「ねぇ結衣ちゃん。隼さんって呼んでないんでしょ?」


「あ…はい。すみません」


「謝ることないわ。はーたんでも隼でもスキに呼んでね」


「あははは。ありがとうございます。じゃあ隼たち起こしてきますね」



私はまた長い廊下を戻り部屋に向かったのだけれど

おかしい…


部屋はどこにもない。



そしていつまでたっても到着しない。


「結衣さんどうしました?」


また私を見つけて組員さんが声をかけてくれた。


「すみません。隼を起こしに行こうと思うのですが、部屋まで戻れなくて」


私が俯きながら言うと


「ご案内しますよ」


そう言ってゆっくり歩き始めた。


本当に申し訳ないやら恥ずかしいやらで顔が真っ赤になっていたと思う。


それでも、笑いもせずに


「大丈夫ですよ。迷ったら叫んで下さい。みんな迎えに行くのを楽しみにしてやす」


そんな迷うということを前提に言われた。


恥ずかしかったけれど、何より有難い言葉だった。


無事に部屋の前につきお礼を言うと組員さんは戻って行った。




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